AIの有用性が示されてからは介護業界も含めて多くの業界でAI活用が検討されるようになりました。ただ、AIが世の中に登場してから速やかに活用が進んだ業界もあるのに対し、全く技術開発が進まなかった業界も少なくありません。介護業界でのAI活用は特に全体から見ると後れを取っています。介護は社会的に必要とされているもので、さらに今後の利用者が増えていくと考えられている業界です。介護従事者の少なさも問題視されていることからすぐにでもAI活用が進められるのではないかと考えるのが妥当でしょう。しかし、切実な問題があって介護業界でのAIの技術開発が進んでいませんでした。メーカーにとっては介護業界は利益率が低いと考えられたのが原因です。
AI技術を武器にして利益を上げたいと考えているメーカーから見ると、介護業界はニーズがあっても高い価格でシステムを提供できないという問題があります。介護保険制度によって介護施設が得ている利益が決まっているため、大きなコストがかかるシステムの導入をするのが困難だからです。そのため、民間企業や一般消費者をターゲットにして利益率が高いサービスを生み出すことが優先されてきました。その状況を見て地方自治体や各種法人が助成金や補助金を出すなどの努力を進めたことによりようやく介護業界向けのAI技術の開発が本格化しています。習熟したアルゴリズムを使える状況にはあるので技術開発がスムーズに進み、実用化は着々と進められています。